日本サッカー特有の4-4-2が生まれてしまった理由

J1第27節は、横浜Fマリノス対ベガルタ仙台、そして等々力で行われたナイトマッチ、フロンターレ川崎対清水エスパルスの2試合に行った。
そこで目に付いたのは、ゴトビ率いるエスパルス以外の3チームに共通した点だった。

マリノス、ベガルタ、フロンターレの3チームは、いずれも日本人監督が指揮を執り、4-4-2のシステムを採用している。
マリノスは木村監督(樋口アシスタントコーチ)、ベガルタは手倉森監督、そしてフロンターレは相馬監督だ。

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そここで注目したいのは、4-4-2の中盤の「4」。
確かにこうして3列表記にして数字にすれば「4」になる。しかしその実態は、センターの2枚がボランチとしてやや低く構えているので、「2-2」という表現が相応しい。

この日のマリノスで言えば、金井と谷口。ベガルタは富田と角田、フロンターレは中村と大島がそのポジションにあたる。
彼らのポジションはいわゆるボランチと表現され、主に守備をその役割としている。

今さらではあるが、このボランチという表現はポルトガル語であり、ブラジルで使われているサッカー用語だ。
ブラジルサッカーのメインシステムは4-4-2なのだが、欧州型の4-4-2とはその性質が異なっている。

センター2枚を守備的かつ攻撃に移行する際の起点とすることで、チームのハンドル、舵取りの役目を任されることから、その言葉に相当するポルトガル語、ボランチと言われたのがそもそもの始まりである。
そして、残り2人のMFは攻撃的な役割を主とし、両サイドに並ぶのではなく、ボランチよりも前に位置し、やや内側に絞ったポジションで2トップの攻撃を後方から厚みをもたせる。

ブラジルのサイドバックのプレースタイルからすると、中盤のサイドにスペースが空いていたほうが都合がよいため、トータル的には攻撃的なサッカーが実現できるというわけだ。

その一方で、欧州では、4-4-2はプレッシングという攻撃的守備を行うために生まれた。
ご存知のように、イタリアの名称サッキが開発したわけだが、彼が実践した4-4-2によるプレッシングサッカーは、最終ラインの4人同様、中盤の4人はフラットになるのが基本となっている、

そして、相手のボールの位置によって、その列が斜めになったり、凸凹型に変化しながら、とにかく相手のパスコースがなくなるような形を保ちながら、前進しながら圧迫していくイメージで相手ボールを奪っていくスタイルだ。
プレッシングサッカーと言われる所以である。

となると、先に挙げた2人のMFが、ボランチの役割を任されているマリノス、ベガルタ、フロンターレは、ブラジルスタイルの4-4-2に当てはまる。
つまり、中盤を役割で細分化した場合、3チームのサッカーはブラジルタイプの4-2-2-2ということになる。

マリノス対ベガルタ戦は、お互いが同じスタイルのサッカーをしているため、その特徴が顕著に現れていた。
相手ボールになった際は、攻撃的な2人のMFがボランチの位置まで下がって、フラットに並ぶ。

確かにこのときは、欧州型の4-4-2のようにも見えるが、違っているのは、どういう状況であれ、基本は2人の攻撃的MFがボランチのラインまで下がって構えるという点だ。
日本で「ブロックを作る」という表現がよく使われるが、そういう意味では確かにブロックを作っているような印象はある。

しかしながら、それがブラジルのスタイルと同じかと言えばそうでもない。
ブラジルが相手ボールになったところで、攻撃的MFの2人は下がって列を作ることはしないからだ。
個人能力の違いが大きいとは思うが、基本、彼らは6人(4バック+2ボランチ)でやりくりして守れることが多いし、前の4人の能力が優れているため、相手チームも守備人数を減らすことを躊躇する傾向があるからだろう。

となると、この3チームやその他のチームがやっている日本の4-4-2は、ブラジルでも欧州でもなく、ある意味で日本独自のサッカーになっているということになる。
外国で「守備ブロック」という表現はほとんど聞かない一方で、日本では頻繁に使われるのはそういうことなのだろう。

ただ、この日本独自の4-4-2は、そのどちらにも属していない「中間」にあるスタイルなので、どうしても曖昧さが否めない。
ブラジルのように個人能力重視でもなく、かといって組織(システムなど)に頼ったサッカーを目指してはいるものの、残念ながら欧州の4-4-2のように組織的に攻撃や守備を行えているわけでもない。

Jリーグの場合、優れた外国人がいるとそこそこの成績を残せるケースが多いが、それはこの4-2-2-2システムを使いつつ、攻撃は外国人の個人能力に頼っているケースがハマった場合が多い。

要するに、外国人の個人能力と、日本人の守備における組織力をミックスしたサッカー。
日本ではプレスという言葉が存在するが、プレーにおける本来の組織的プレッシングが存在していないのは、そういった背景が関係している。

また、日本代表が4-2-3-1を採用すると、ボランチの発想が生かされているためにそこそこ機能するが、欧州型(イタリア型)の発想でザックが3-4-3を採用すると機能しなくなるのは、そのせいもある。

とりわけ、国内組中心で戦ったキリンカップのペルー戦と海外組中心で戦ったチェコ戦で、後者が進歩したように見えたのは、欧州を経験した選手のほうがそのサッカーの理解能力が高かったためだ。極めて自然のことだと言える。

サッカーはシステムだけでは語れないが、システムとその中での役割から語って分かることもある。
日本には、4-4-2に対応できる純粋なセンターハーフがいないのだ。

ボランチというポジションが浸透しきっている中で4-4-2を機能させようとしても、いくら欧州型を意識しても、そこにはどうしても矛盾が生じてしまい、気付けば日本独自の4-4-2が出来上がっているというのが現状だ。

サッキが生み出した欧州型4-4-2は、当時は超攻撃的サッカーとして知られ、それが欧州全土へと広まった。
4-2-3-1も、4-3-3も、そこから変形して生まれたのであって、4-2-2-2とは何の関係もなく進化発展を遂げている。

日本人の指導者は同じ教育を受けているのかもしれないが、誰か1人くらいは、欧州型の4-4-2に取り組んで、攻撃的なサッカーを実現して欲しいものだ。
もし日本人監督がやらないのであれば、本場を知るザッケローニに代表で実践して見本を見せていただきたい。

それができれば、4-3-3-も、3-4-3も、4-2-3-1も、その応用として攻撃的に機能させることはできるはず。
同時に、今の日本ではいないタイプ、しかし欧州では沢山いる純粋なセンターハーフが自ずと育ってくるはずだ。



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