ひとりの市民、日本人として思うこと (下)

3月11日以降、そういう視点で日本を客観視したとき、秩序を守る日本人には、ひょっとしたら自己判断能力が決定的に欠けているのではないかという疑問が生まれた。
もちろん全員というわけではないが、全体的にそういった印象が否めないのだ。

たとえば、放射能で汚染されたホウレンソウのことがテレビのニュースで流れると、他の野菜はどうなのかという発表を待ち続け、発表がないと「情報をはっきり発表して欲しい」と不満を言う。
東京の浄水場から放射性物質が検出されたというニュースが流れると、飲んでいいのか悪いのか、ひたすら政府の指示を待つ。待って、それに従う。

もちろん政府は発表する義務はある。しかし、それにしても多くの日本人は、それを飲むべきか飲まないべきかの自己判断をしないで、政府、あるいはメディアの情報に盲目的に従う習慣がある。
それは、Aと言う先生の話に疑問を持たない生徒の話に通じる。日本人のスタイルだ。

だから、もしかしたら先生の話は間違っているかもしれない、という疑いを持って話を聞く生徒がいない。もっとも、そんな意見を口にした時点で、みんなの前で恥をかきかねない。
仮にBという意見を持っていても、それを口にする機会はなかなか与えられない社会のように感じる。

そして、その日本人のスタイルは、そのままテレビの報道姿勢にも表れている。
たとえば今回の原発事故についてのニュースの中で、色々な学者や専門家が出てきてコメントをするが、基本的にはAという見方だけが披露されることに終始する。
そんなテレビ報道に疑問を持つ者もあまりいない。

こんな大きな問題が起こったのに、Aという見方をする学者と、Bという見方をする専門家が同じ番組内でそれぞれの見解を披露することがない異常さと、危うさ。
外国のテレビ番組であれば、AやBやCという意見を持ったそれぞれの専門家が同じテーブルに座って必ず議論をすることだろう。

特に、どれが正解か分からないような問題であれば、そうやって議論することで、話している人の見解もブラッシュアップされるし、それを見た視聴者はどの人が言っていることを自分の意見に取り入れるのかを判断することも出来る。

そうやって自己判断能力が磨かれるのだと思う。
もっと極端なことを言えば、そうすることで、政府の発表が真実なのか怪しいのかを判断する能力が自然と磨かれるのだと思う。

日本の大手メディアがどんな性質で、どのような背景があるのかは、それなりに理解しているつもりなので、そこにあまり期待は出来ないことは事実だと思う。

だから個人的に腑に落ちない点があった場合は、わざと少数意見を探して耳を傾けたり、違った立場の人の意見を探したりすることにしている。
そうしないと、日本では一方的な情報が上から下りてくるだけなので、疑問は何一つ解消されないからだ。

つまり、Aという話を聞いてそのままAという考え方に至るのか、それともBやCという意見を聞いた上で改めてAという考え方に至るのか。
同じAでも、その違いは大きく、性質(レベル)も大きく異なっているのではないだろうか。

何を言いたいのかと言えば、そういった過程を経るか経らないかが、結局は自己判断力に大きく影響するのではないかということだ。
そして今、日本人にはその能力が大きく問われているような気がするのだ。

自己判断力が上がれば、周りに流されることなく、準備をすることが出来る。知識が増えれば不安も少しは解消される。最近最優先事項になっている風評被害という発想も、少しは解消されるのではないかと思う。

何ミリシーベルトはCTスキャン何回分といったミクロな事実と、あの大地震以降、原発から放射能が漏れ続けているマクロの事実は、一体どちらが重いのか。
マクロが解決されずにミクロは解消されない。その変化に一喜一憂は出来ない。将来に向けたビジョンも見えなくなってしまう。
しかも、そういった本質を見逃すことで、より大きな災害を生んでしまう可能性も否めない。

また、そういった上から下りてくるだけの情報に慣れてしまうと、考え方の幅も自ずと狭くなってしまう。
確かに日本は島国ではあるが、結局は海を通じて世界とつながっている。そのことを、うっかりすると忘れてしまいがちだ。

たとえば、放射能が日本列島を南下しなければ安心なのか。海側に流れたことを安心と受け止めていいのか。
すでに2週間以上も地球上に放射能を漏らし続けているのに、国のトップから国際社会に対する謝罪声明もないことは、復興を目指す日本にとって国際的孤立を招くことにならないのか。

僕が外国人であれば、何も言わない日本人に、今、安心よりも警戒を示すのは当然だと思うが、果たして実際はどうだろうか。
この問題は、もはや日本の問題ではなく、国際問題のひとつであるという認識を持ったほうが自然なのに、なかなかそういう視点で意見を述べる専門家に出くわしたことはない。

地震、津波、原発事故。
我々を襲ったトリプルパンチは、まだ続いている。復興段階ではなく、今も大災害の真っ只中にある。
テレビや新聞は、今後数十年単位に渡って続くであろうこの原発事故について、連日視聴者に情報を提供し続ける覚悟と責任感はあるのだろうか。

もちろん、ここで長々と書いたことも、単なる一つの考え方だ。AやBやCという意見の中に入るのかどうかも分からないが、ただ少なくとも正しいとか間違いとかの問題ではないと思っている。
また、自分の中では出来るだけそういうスタンスで問題を捉え、自己判断できるように準備をしたいというだけの話だ。

日本サッカー界が行ったチャリティマッチを見て、久し振りに世の中に明るさを感じることが出来た後、だからこそ改めて襟を正しておきたいと感じる。

人は希望がなければ生きていけないといったようなコメントをカズしたようだが、まったくその通りだと思う。
そして今は、希望を持つためには何が必要なのかを考えるときなのかもしれない。

人の指示に従うことで生まれる希望もあれば、自分の判断力で切り開く希望もあるはずだ。今はどっちを選ぶべきなのか。
これもまた、人それぞれの考え方の問題なのかもしれないが。


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