ネットから得られるものと、読書から得られるものと

先週から取材でフランスに来ている。
今回は、取材先がフランス国内に散らばっているため、TGV(フランスの高速列車)を駆使して大移動の連続。
すでに計12時間を列車で過ごし、5都市を訪れている。

そこで、長時間の移動で貴重なのが読書である。
出張が多い仕事柄、もっぱら本や雑誌を読むのは移動時間というのが定番になってきているが、とりわけ海外に滞在しているときは気分転換に最適だ。

空港で飛行機を待っている時間、列車に乗っている時間、あるいはホテルの部屋で空いた時間も読書が出来る。
日本で生活していると、ここまでゆったり読書に時間を割くことができないので、多少は荷物が重くなっても、できるだけ日本からたくさん本や雑誌を持ってくるようにしている。

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「旅は読書」とはよく聞く台詞だ。
とはいえ、インターネットが普及してからは、旅の様相も変化しているのは事実だ。

昔は日本のニュースを知る手段は、大都市でしか入手できない衛星版の日本の新聞に限られていた。
たまにホテルでNHKが映ったりすると、それこそ読書の時間を割いてでも食い入るようにして見入っていたものだ。

しかし、今は違う。
パソコンを開けば、日本の情報はいくらでも入ってくる。うっかりすると、自分が海外にいることを忘れてしまう感覚に陥る。

そしてそれは、もしかしたら逆のことも言えるのではないかと、ふと思ってしまうのだ。

つまり現代は、日本にいながらして海外の情報を即入手できるため、まるで自分が海外にいるのではないかという錯覚に陥ってしまいはしないか、と。

最近のネットを見ていて感じるのは、ほとんどのニュースが数行で済まされてしまっているということだ。
簡単に言えば、スポーツ新聞の悪しき習慣とされていた、見出し文化というやつがネットの世界でも一般化しているのである。

たとえば、サッカーに関して言えば、ヨーロッパで活躍する日本人選手の情報がその典型的な例だと言える。
サッカーの試合は少なくとも90分ある。その90分には、とても2、3行では語れないものが詰まっているにもかかわらず、結局、ネット上のニュースではユーザーの興味を引くようなセンセーショナルな見出しと、わずか数行の情報だけ。

もちろん、サイト運営サイドとすれば、アクセス数とユーザビリティーを重視して広告費を稼ぎたいという苦心の末の結果なのだろう。それはある意味で仕方がないことではある。

しかし、スポーツ新聞やテレビ的な日本の悪しき習慣が、ネットの世界にまで定着してしまうのは怖い気がする。
今後は、さらにインターネットが主流になるだけに、数行の記事の向こうにある本当の世界を知らないまま、世の中が動いてしまうような気がしてしまうのだ。

ネット主流時代の危険性とは、手軽に多くの情報を得られるがゆえ、そういった薄い内容の記事で多くの人が満足し、それがすべてだと思ってしまうことではないだろうか。

ネットのニュースとは意味合いが違うが、果たして、北アフリカから始まった民主化運動で役立ったとされるツィッターやフェイスブックといったツールは、本当に真実を伝え、それを本当に理解したうえで賛同した人たちが運動に参加していたのだろうか。

そうであったなら安心だが、もしそうでなかったとしたら、本当に怖いツールだと思う。

それに比べると、紙の世界は落ち着いている。
活字の力は人間の脳みそを最大限に活性化させてくれると同時に、物事を深く考えさせてくれる力をも持っていると思うのだ。
週刊誌の記事で取り上げられる相撲の八百長問題は、明らかにネットやテレビで伝えられている情報と異なっている。

果たして、どっちが真実なのか。
そう考えさせてくれるきっかけを作ってくれるのは、やっぱり紙媒体だと感じる。

他のサッカー先進国同様、フランスでも連日のようにサッカーの試合やトピックスについて数人の論客が議論する番組が放送され、ファンに定着している。
いくらネット社会が進化しても、そういった討論番組は消えることはないだろう。

だから、人々が深くものを考える機会も減らないだろうし、そういう議論するという習慣が途絶えることはないと感じる。

しかし、もともとテレビでもそういう文化がない日本は違う。
スポーツ新聞でも、テレビでも、そしてインターネットでも浅い情報が氾濫し、とりわけ日本的な情報はヨイショ報道に偏ってしまう。
そして、今後はますますそれが主流と化していくだろう。

確かに、紙媒体が衰退するのは、時代の宿命でもある。
ただ、それと同時に、物事を深く考えるきっかけが消滅してしまうというのは、あまりにも日本においては危険だと感じる。

サッカーの面白み、深みというものを、便利で手軽になったこのデジタル社会の中で、どのように伝えていくべきか。
デジタルブックであれば、それは事足りるのか。もっと深く知りたい、と思わせるきっかけになり得るのか。

フランスTGVに揺られながら、紙に印刷された活字をたっぷり吸収していると、今さらながらふとそんな思いを巡らせてしまうのだ。


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