それでも、岡田ジャパンに苦言を呈する理由

6月19日、ダーバンで行われたオランダ対日本の一戦。
お互い勝ち点3同士の戦いとなったわけだが、その立場は大きく違っていた。

優勝を狙えるだけの実力者オランダは、この日本戦で確実に勝ち点3を稼ぎ、一足先に決勝トーナメント進出を決めたい。
一方の日本は、格上相手に勝負を挑むのは得策ではないと判断した指揮官が、またしても守備的サッカーで試合に臨んだ。大敗しなければ、最後のデンマーク戦で大きな可能性を残すことが出来るからだ。

だからこそ、この試合は1-0でオランダが勝利する結果となったのである。
オランダにとっては、これだけ守備的に挑まれればスコアレスの可能性さえ否定できない状況だったが、しかし彼らはしっかり最低限のノルマを達成した。

つまり、そこが世界と日本の「差」ということになる。
少なくとも、ダーバンのスタジアムで見た90分間に、日本サッカーの明るい未来は何も感じることは出来なかった。
それは12年前にフランスで見たものとほぼ同じだったというのが、率直な感想である。

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以前、このコラムでも書いたと思うが、「世界を驚かせる」と公言して常識無視の独特のサッカーを貫いてきた岡田ジャパンは、結局、大会本番を前に現実的なサッカーに路線変更した。
それは、本来岡田監督が持っている引き出しの中にある、自分のスタイルである。

どうやら今、日本国内ではこの岡田采配を見事だと賞賛する流れになっているようだ。
一般大衆向けのメディアが手のひらを返すような賞賛報道を繰り広げるのは仕方ないにしても、サッカーを専門的に扱うメディアまでがそれでは、正直話にならない。

岡田ジャパンの取材を続けていれば、いずれこのような現実路線を選択するしかなくなるだろうということは、事前に予測ができたはずだ。
そしてその現実路線の先には、ひと時の興奮や歓喜はあっても、将来につながるものは何も残らないことを分からなければいけないはずだ。

もちろん、結果がすべての勝負の世界ゆえ、現時点で岡田監督が選択したサッカーを、いや、選択せざるをえなかったサッカーを、一方的に否定するつもりはない。
大会前にあった日本サッカー界への失望感を取り除く応急処置としては、もはやこの方法しかないからだ。

無秩序に前からチェイスして自滅するサッカーであれば、あれほど出来の悪かった初戦のカメルーンに対しても、負けていた可能性は高い。
それは、まるで善戦したかのような印象を残すことに成功したオランダ戦にしても同じだ。

ワールドカップは、日頃サッカーをあまり見ない人も注目する一大スポーツイベントである。だから結果を出して人々の興味を失わせないことが日本サッカー界にとって重要であることを考えれば、1勝1敗という現時点での成績は申し分のないものだとも思う。

しかし、である。

その一方で、カメルーン戦とオランダ戦の各90分間で起こったことから目をそらしてはいけないと思う。
その90分間を直視することなく、ただ結果だけでサッカーを語ってしまったら、日本が過去に犯した過ちを繰り返すだけになってしまう。

たとえば、初戦の勝利を語るとき、カメルーンのパフォーマンスについて触れずに勝因を語ることはできないはずだ。
デンマーク戦のカメルーンを見れば、それはなおさらだ。日本戦におけるカメルーンの低調さを無視して、本当の日本の実力は測れないのだ。

オランダ戦にしてもそうだ。
一体、この試合で臆することなく普段通りのプレーができていた選手が何人いたのか?
ゴールを奪うための意図的な組み立ては、一体何回できていたのか?
大久保が記録上3度放ったシュートは、本当に相手GKやDFの脅威となる類のシュートだったのか?

あるいは、アクセルを踏んだ後半20分間以外、オランダは何パーセントのエネルギーを使って日本と試合をしていたのか?

スコアだけを見れば、まるで去年9月の親善試合よりも日本が進歩したかのように見受けられがちだが、そんなことは決してない。
あの時の後半のオランダと、今回の後半のオランダを比べれば、使っているエネルギーは去年9月のほうがまだ上だったと見るのが妥当だと思う。

要するに、あれから12年経過した今も、日本はワールドカップで強豪を本気にさせることさえ出来ないレベルにあるということである。

そもそも、守備的に戦って結果だけは体裁を整えるというサッカーなら、正直、日本よりも弱いチームでも出来ないことではない。
上位進出を狙う強豪国がグループリーグに臨むスタンスを考えれば、守備的に戦う相手に無駄にエネルギーを使って大量得点を狙う必要などまったくないからだ。

世界と日本との「差」を本当に縮めたいと思うのなら、結果に対する称賛とは別に、この2試合における日本のパフォーマンスをしっかり直視しなければいけない。
だからこそ、ここでは敢えて苦言を呈したいと思うのだ。

次なるデンマーク戦でも、ほぼ間違いなく岡田監督はこれまでの2試合と同じようなサッカーを選択するはずだ。
今の岡田ジャパンの状況で、結果だけを考えるのであれば、それしか方法はない。

ただ、そこで得た結果は、今大会だけのものであることを、我々は決して忘れてはいけない。
指揮官が犯した過ちのお陰で、選手たちは自分の本当の実力と世界との差を実感できないまま、結果しか得られないワールドカップを終えることになるのだ。

それは、長い目で見てプラスなのか、マイナスなのか。
心あるサッカーファンの方には、結果とは別のところで、次につなげるための視点だけは持っていていただきたい。

現地で取材する記者の話や現状の報道を見聞きする中で、もはやこの国のサッカーは永遠に世界に追いつくことはできないことを痛感している次第である……。


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この記事へのコメント

とりあえず・・・・・
2010年06月26日 20:01
デンマークに3-1の完勝。見事に岡田JAPANはベスト16進出ですねw

今回の件で、いかに日本のサッカー界がドロドロとした足の引っ張り合いが蔓延する世界だということがわかりましたw

まだかなまだかな
2010年06月27日 09:50
編集長の鋭い記事をはやく読みたいなあ

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