東京ヴェルディよ、どこへ行く……

最終節でフロンターレに敗れ、一転、ジェフと入れ替わりJ2自動降格となってしまった東京ヴェルディ。
前回のコラムでもその前兆について触れたが、やはりと言うべきか、土壇場でその予兆は現実のものとなってしまった……。

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そして今、ヴェルディは本当の迷走状態に陥っている。
8日のスタッフ会議で柱谷監督の退任が決定し、現段階では高木現コーチの監督昇進という意見でまとまったものの、ラモス常務らがフロント批判を行い、高木監督も態度を保留。
さらに、日テレの財政難により、ヴェルディ経営立て直し策としての「若手育成型クラブ」への方向転換を図ることはほぼ固まった模様だが、その方針も、幹部による付け焼刃的な色合いが強く、将来的なビジョンについても不透明さは否定できない。

そもそも、クラブ経営陣、現場、選手、サポーターなど、それぞれが異なる方向を見ているのだから、将来的ビジョンもあったものではない。その言葉には空しさを覚えるばかりだ。

しかしこの迷走は、起こるべくして起こったと言わざるを得ない。
それは、最終節の試合後に起こったサポーターの居残り抗議運動の一部終始に立ち会い、このクラブの実情が垣間見えたからである。問題は、思っている以上に根深いようだ。

少々長くなるが、ここで、最終節試合後の出来事をざっと振り返ってみたい。

まず降格が決まった後、スタッフ、選手がゴール裏サポーターの前に並び、挨拶を行った。
あっさりと短めの挨拶を済ませた萩原社長(兼会長)に続き、涙ながらに頭を下げた柱谷監督が、そして解雇通告を受けていた服部キャプテンも涙をこらえながら挨拶を行った。
その中で、柱谷監督は「ヴェルディは無くならない」と意味深な発言。何かを暗示するかのようなその発言は、まるでその後の事態を予測しているかのようだった。

その後、試合後のミックスゾーンでは、スタジアムを後にしようとする萩原社長を記者が囲み、今後についての質問がなされた。
そのとき萩原社長は「まずは8日に監督問題について幹部を集めて話し合う。ご本人(柱谷監督)がどう考えているかということもあるし、今は何も決まっていない。私はサッカーについてよく分からないので、しかるべき関係部署、幹部の意見を聞いた上で決める。決定事項はしかるべき決定機関で決めるものだからね。ただ、財政事情もあるので、これまでのように勝ってJ1に残るという方針ではなく、若手育成型のクラブを目指すことになると思う。また、引き続き経営パートナーも探していく」と、コメント。
そう言って萩原社長は、足早に去って行ったのだった。

そんな萩原社長の行動とは裏腹に、サポーターはゴール裏に居残り、用意していたフロントへの抗議メッセージが書かれた横断幕をいくつも掲げ、社長とのその場での話し合いをその場にいたチームスタッフを通して要求。
ところが、すでに社長が帰ってしまったことを知らされたサポーターは、携帯電話で呼び戻すよう要求するが、結局それが叶わず、今度はスタジアムに残っていた小湊常務取締役との話し合いを要求したのだった。

しかし、チームスタッフを通してその要求を知らされた小湊常務は、興奮したサポーターとは話し合いができる状態ではないこと、また出て行って話し合いをすることで余計に事態が悪化することを懸念し、頑なにサポーターの要求を拒否。日を改めてのサポーターとの話し合い(ラウンドテーブル)を提案。その一点張りだった。
そしてサポーターは放置されたまま、小湊常務とサポーターの消耗戦が始まったのである。

結局、小湊常務がサポーターの前に現れたのは、23時過ぎ。試合終了から約6時間半後のことだった。
その間、寒さに震えながら抗議を続けるサポーターと、暖かい部屋で待機する小湊常務の間を、そのチームスタッフはまるで伝書鳩のごとく何度往復したことか……。

それにしても、サポーターだけの肩を持つつもりはないが、この夜のヴェルディ・スタッフの対応は、なんと情けなかったことか。とてもプロのサッカークラブの対応とは思えない。それが正直な感想である。
サポーターは、リーダーを筆頭に、その場を早く撤収する方向で何度も譲歩していたにもかかわらず。

降格という嫌な思いをする日は、今日だけで十分。日を改めれば、また何日も嫌な思いをしなければならない。ここにいるサポーターたちに誠意を見せて欲しい。今、俺達が興奮状態だから話し合いにならないと言うなら、小湊さんが話をしている間は全員静かに聞いている。ここにいる全員がそれを守る。だから、早く出てきて話し合いに応じて欲しい。

サポーターは、ギリギリのところまで妥協し、そう訴えていたのだ。
その場にいたチームスタッフ数人も、改めて結束して小湊常務の説得にあたったわけだが、それでも小湊常務は23時まで出て行かなかった。だから、小湊常務だけでなく、結果を出せなかったそのチームスタッフも同じ穴のむじなと言われても仕方がないだろう。

この場に居合わせた某ベテランカメラマンが面白いことを言っていた。
「これは企業で言えば株主総会のようなもの。降格してサポーターはストレスが貯まっているのだから、経営者はそのストレスのはけ口を上手に作ってあげなければいけない。そうすれば、この場は丸く収まるのに。ここで、経営者がプロかアマかはっきりしてしまうだろう」

これ以上長々と書き連ねても切りがないのでここまでにするが、少なくとも、この夜のヴェルディのスタッフがとった行動は、残念ながらプロの仕事とは言えない、極めてアマチュアなものだった。
同時にそれは、明らかにサッカーを殺す行動だった。

この寒さの中、時間の経過とともにフロントの態度に辟易しながら何人ものサポーターがスタジアムを去っている。
彼らが来季、緑のシャツを着て味の素スタジアムにまた来てくれると、一体誰が保証できようか。
その甘い認識が、財政難に拍車をかけることは間違いない。一度失った信頼を取り戻すのは、容易なことではない。

プロの対応が出来なかった幹部とスタッフ、フロント批判を匂わせてスタジアムを去った現場スタッフ、そして、そんなバラバラなクラブ状況を知ってストレスを貯めるサポーター……。

残念ながら、かつての名門ヴェルディは、今、そんな厳しい状況にある。


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